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【コラム】住宅ローンの繰り上げ返済は有効?メリット・デメリットを解説

2024年01月09日



 

住宅ローンを返済中に金銭面で余裕があれば、「住宅ローンを繰り上げ返済して、借入金額を少しでも減らそう」と考える方も多いのではないでしょうか。

住宅ローンの繰り上げ返済は、毎月の返済額や返済総額を減らすためには有効ですが、住宅ローンの繰り上げ返済には2つのタイプがあるので、繰り上げ返済を行う前にその特徴を押さえておくことが重要です。今回は、住宅ローンの2つの繰り上げ返済の方法や、繰り上げ返済自体のメリット、デメリットについて解説していきます。

 

住宅ローン繰り上げ返済の2つの種類とは


住宅ローンの繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」「返済額軽減型」の2つパターンがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

 

返済期間短縮型


毎月の返済額は変えずに完済までの期間を短くする返済方法です。

返済期間が短縮された分、支払う予定であった利息も軽減されます。住宅ローン借入時に30歳を過ぎており、定年が60歳の場合、借入期間が35年であれば退職してからも住宅ローンを返済し続ける必要があります。退職金が入ったら全額繰り上げ返済をしようと考えている方もいるかもしれません。しかし転職などをしている場合は、想像していたよりも退職金が少なかったり、ローンの返済に充ててしまったために老後の生活に支障をきたすことも考えられます。定年までに完済したいと考えている方は「返済期間短縮型」を選ぶのがおすすめです。

 

返済額軽減型


返済額軽減型は、借入期間は変えずに毎月の返済額を減らす返済方法です。

住宅ローン返済期間中に、子どもの教育費がかかるようになったり、収入が減ってしまったり、生活の変化によってこれまで返済できていた月々の返済額が負担になることがあります。また、住宅ローンを変動金利や途中で変動金利に切り替わる固定期間選択型で契約している場合、将来金利が上昇するリスクも考えられます。金利が上昇すると返済額も増え、家計を圧迫することにもなるでしょう。月々の返済額を減らして生活費や教育費に充てたい方は、「返済額軽減型」を選ぶといいでしょう。

 

住宅ローンの繰り上げ返済はどんな時するのがいいのか




 

では、一体どのようなタイミングで繰り上げ返済を行えば、より効果的に返済額を減らせるのでしょうか?

 

住宅ローンの繰り上げ返済と住宅ローン控除


繰り上げ返済は、残高が多く金利が高いほうがメリットを多く享受できます。例えば、住宅ローン残高が3,000万円残っている状態で500万円を繰り上げ返済した場合、2,500万円の残高で返済額を再計算することになります。

借入金額が少なくなるほど支払利息は少なくなるため、早めに繰り上げ返済を行うと効果は絶大です。しかし、住宅ローン控除を受けている期間中に行う期間短縮型の繰り上げ返済は、節税対策と利息軽減効果とのバランスに注意が必要となります。

繰り上げ返済をすると控除の金額も減少します。また、住宅ローン控除を受けるには「返済期間が10年以上」が要件です。期間短縮型の繰り上げ返済を行い、トータルの返済期間が10年未満となる場合は、住宅ローン控除対象外になってしまいます。2023年11月時点で、住宅ローンの変動金利は1%を切る金利を設定している金融機関が多いです。例えば、年末住宅ローン残高の1%が税額控除できている場合は、住宅ローン控除の金額が支払利息よりも大きくなるケースがあります。住宅ローン控除が利用できる期間は、長い人で13年のため、住宅ローン控除が利用できる間は、最大限利用してください。その期間に繰り上げ返済のお金を貯めて、控除が受けられなくなったタイミングで繰り上げ返済するのも良いかもしれません。

 

金融機関のシミュレーションを利用しよう


その上で、繰り上げ返済を行いたいとなった場合でも、うまい具合に返済タイミングを考えることができない人もいるでしょう。そのような人のために、金融機関によっては、「毎月〇万円ずつ」など毎月定期的に繰り上げ返済ができるサービスや、普通預金口座の残高が一定以上になれば自動的に返済を行うサービスもあります。貯蓄に回すよりも返済を重視したいと考えるのならば、このようなサービスを利用して、返済期間をどんどん短縮していくのもおすすめです。なお、繰り上げ返済でどのくらいお得になるかは、金融機関の繰り上げ返済シミュレーションで確認ができますので利用してみましょう。

 

繰り上げ返済の資金で資産運用を検討するのもあり?


手元に余裕資金があれば、負債を無くすために繰り上げ返済を検討されるかもしれません。しかしその余裕資金を資産運用に回し、「お金を増やす」という考え方に変えてみるのも良いかもしれません。現在の住宅ローンは低金利のため、ローンの利息よりも運用の利回りによる利益のほうが大きくなることが考えられます。もちろん資産運用による利回りは確実ではなく、利益を得られることもあれば損をしてしまうことがあるのも事実です。しかし現在の住宅ローンの低金利を考えると、資産運用も資金の有効活用のひとつの選択肢として検討するのもいいでしょう。

 

住宅ローンを繰り上げ返済するときの注意点とは?




 

ここでは、繰り上げ返済をするときの注意点を2つ紹介します。

 

急な出費など家計のことをよく考えて判断する


住宅ローンの繰り上げ返済をする場合、繰り上げ返済をしてから生活費や教育費がまかないきれず家計が苦しくなることがないように、手元資金は余裕をもって残しておきましょう。ライフプランを確認し、必要な資金を把握し、手元に必要資金を残したうえで繰り上げ返済することが大切です。

 

経済的負担をシミュレーションしておく


住宅ローンの繰り上げ返済にはメリットもデメリットもあります。繰り上げ返済をしたほうが良い、しないほうが良い、というのは契約している住宅ローンの内容やご家庭の事情によっても変わってきます。そのため、繰り上げ返済をしたときとしないときでシミュレーションをして、ご家庭にメリットのあるほうを選ぶようにしましょう。

 

まとめ


住宅ローンの繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、期間短縮型のほうが支払利息軽減の効果が高くなります。ただし、繰り上げ返済を考える際は、当面の生活費や急な支出に支障がないかまでを考慮して検討すると良いでしょう。返済額軽減型は、「毎月の負担を減らしたい」「将来の生活費の上昇が見込まれる」といった人に向いていますが、繰り上げ返済を行う場合は、2つの返済方法の特徴を理解して、自身の生活状態にあった方法を選択することが大切です。ライフプランや、将来必要になりそうな費用のことも考えて、資金に余裕があるタイミングで効率的に行いましょう。

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