ル・コルビュジエ設計の「国立西洋美術館」世界文化遺産に登録!

2016年7月に「国立西洋美術館」が、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。東京・上野にあるこちらの美術館は、近代建築の三大巨匠の一人、フランス人建築家ル・コルビュジエによって設計され、日本で唯一の建築作品です。彼はフランスやスイス、インドなど世界各地で建築デザインの実績を持ちますが、今回この国立西洋美術館を含む世界で17の建物が7か国共同で世界文化遺産に登録されました。
これまでに日本で登録された世界文化遺産は、精神性の象徴ともいえる寺社であったり、時代を築いた産業遺産が多かったのですが、このたびの国立西洋美術館は開かれた公共建築であり、来訪者を選ばない多様性を感じされるものであると考えられます。

ル・コルビュジエとは一体どんな人?

では、そんな偉業を果たしたル・コルビュジエとは一体どんな人なのでしょう。 ル・コルビュジエという名は実はペンネームであり、本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ=グリ。1887年にスイスのラ・ショー・ド・フォンという町で誕生しました。建築家として建物の設計はもちろんのこと、家具をデザインしたり絵を描いたりと、クリエイターあるいはアーティストとしての才能を幅広く発揮し、特に建築分野では日本を含めて世界各地で革新的なデザインを行い「近代建築の三大巨匠の一人」として高い評価を受けています。もともとスイス生まれの彼ですが、42歳のときにはフランス人女性イボンヌ・ガリと結婚をしフランス国籍も取得しました。

ル・コルビュジエの魅力とは?

ル・コルビュジエを語るうえで外せないものの一つに、フランス・パリ郊外の「サヴォア邸」があります。これはコルビュジエの最高傑作ともいえるものであり、「ピロティ」「屋上庭園」「自由な平面」「水平連続窓」「自由な立面(正面)」という近代建築の5原則(新しい建築の5つの要点)が盛り込まれています。
当時の「家」というと石造りやレンガ造りの建築が主流で、窓が小さく採光量が少ない、あるいは風通しが良くないなど建築物における柔軟性に乏しい部分がありました。そこへコルビュジエが鉄筋コンクリートを使用したことにより、それらを克服し多様性に富んだ合理的かつ機能的な建築を可能にしたのです。 ※国立西洋美術館にもこれらの考えは採り入れられており、彼の設計思想を目で見て体験できる場所となっています。
これらは今となっては当たり前のように感じられますが、当時では革新的かつ自由な建築であり、現代の建築の基礎ともといえるでしょう。

ル・コルビュジエの思想を採り入れた「ユニテハウス」

そんな時代を先行くル・コルビュジエの思想を採り入れたのがユニテハウスです。ユニテハウスの「ユニテ」はコルビュジエの代表的な建築物のもう一つ「ユニテ・ダビタシオン」に由来したもの。住む人が家に合わせていた「家ありき」の古典的な考え方ではなく、住む人のライフスタイルに合わせた「家づくり」。
住む人それぞれが暮らしの在り方を考え、変わりゆくライフスタイルに応じて変化可能な家を提案します。それは、かつてコルビュジエが提唱していた”ドミノシステム”による構造躯体と内装設備を分けた思想がベース。ユニテハウスではそのドミノシステムを現代的にアレンジし、S&I設計2×4工法で実現させています。

"Le Corbusier"
建築家「ル・コルビュジェ」とは?

ル・コルビュジェは、建築家です。

ル・コルビュジェはスイスで生まれ、フランスで主に活躍した建築家です。
フランク・ロイド・ライト、およびミース・ファン・デル・ローエと共に近代建築の3大巨匠として位置づけられています。
コルビュジェのもっとも大きな功績は、装飾のない平滑な壁面処理。伝統から切り離された合理性をモットーとしたモダニズム建築の提唱とされています。
現在のシンプルモダンと呼ばれている建築は、このコルビュジェの思想から大きく影響を受けてきました。

1887年10月6日、ル・コルビュジェはスイスの山間の小都市ラ・ショー=ド=フォンで生まれました。
スイスで活動したのち、1917年にパリにでてピュリズムの画家として活動しながら35才で従弟のピエールと共同で建築事務所設立します。
1920年代には「新しい建築の5つの要点」を提唱し、サヴォア邸に代表されるような明るく清潔で、機能的な住空間を創造しました。

第二次世界大戦後になると独自の尺度「モデュロール」を発表し、この尺度を用いた集合住宅”ユニテ・ダビタシオン”やロンシャンの礼拝堂”などの宗教建築、インドでの都市計画と大型公共建築などを手がけました。
日本において、コルビュジェの作品は遂次紹介され続け、多大な影響を及ぼしました。国立西洋美術館の基本設計はコルビュジェによるものです。

「住宅は住むための機械である」

コルビュジェは彼の目指した総合芸術を様々な形で表現してきました。
例えば彼が残した言葉に「住宅は住むための機械である」というものがあります。
この言葉は彼の建築思想をあらわす言葉としてあまりにも有名ですが、これは機能の合理性をもとめ無駄な装飾を排除していった建築のことであり、究極のシンプルに行き着いたことを示しています。

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Maison-Domino
床、柱、階段の住宅構成「ドミノシステム」


Maison-Domino

西洋では組石造(石積み、レンガ積み)による建築が伝統的でしたが、1914年にコルビュジェは床、柱、階段のみが住宅の主要な3要素であるというドミノシステムを発表し、内部の壁が構造から解放された自由な平面を実現をきるとしました。

これは構造躯体と内装や設備を完全に分離すると定義したもので現在で言うS&I(スケルトン&インフィル)そのものでした。

また、ドミノとはコルビュジェが考案した造語でフランス語のドムとイノを組み合わせたものです。
ドムは家、イノは新しいという意味であり、彼が示した思想は住宅におけるまさに革新的な考えだったのです。

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Modulor
独自の建造物の基本寸法「モデュロール」


Le Corbusier著「Modulor」
Birkhauser社復刻版ケースより

モデュロール(Modulor)とはコルビュジェが考案したもので、人体の寸法と黄金比からつくった建造物の基本寸法の数列です。

フランス語のmodule(モジュール・寸法)Section d'or(黄金分割)からコルビュジェがつくった造語とされています。
このモデュロールをもとにコルビュジェは、身体各部の寸法を基準にした建物の細部の設計をしていきました。
実際にこのモデュロールを用いて設計されたものとして、ロンシャンの礼拝堂の窓の配置、ラ・トゥーレット修道院におけるブリーズ・ソレイユなどのプロポーショナル・レイアウト、そしてフランス・マルセイユにある「ユニテ・ダビタシオン」が挙げられます。
また、世界中の建築家にも大きな影響を与え、日本でも丹下健三が日本版のモデュロールを作成しています。

日本でも昔から、尺(しゃく 1尺は303ミリメートル)をもとに、その3倍を半間(はんげん)6倍を一間(いっけん)と呼んで、間取りの元としていました。
現在では国際的にメートルが基準となっていますが、イギリス文化圏では尺に近いフィートとその12分の1のインチを今でも使っています。

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Architectural work
コルビュジェの建築作品

1905年
  • スイス ファレ邸
1916年
  • スイス ジャンヌレ=ペレ邸
  • スイス シュウォブ邸
1924年
  • フランス エスプリ・ヌーヴォー館
1925年
  • スイス 小さな家(母の家)
  • フランス ヴォワザン計画(計画案)
  • フランス ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸
1926年
  • フランス クック邸
1927年
  • ドイツ ヴァイセンホーフ・ジードルンクの住宅
1929年
  • フランス サヴォア邸
  • ドイツ ムンダネウム
1930年
  • フランス スイス学生会館
  • ドイツ ソヴィエトパレス(計画案)
1933年
  • ドイツ パリ救世軍本部
1934年
  • ドイツ ナンジェセール・エ・コリ通りの集合住宅(ル・コルビュジエ自邸)
1947年
  • ドイツ 国際連合本部ビル(計画案)
1951年
  • フランス ジャウル邸
1952年
  • フランス マルセイユのユニテ・ダビタシオン
  • ドイツ カップマルタンの休暇小屋
  • ドイツ チャンディーガル都市計画(-1959年)
    • 1952年 高等裁判所、美術館
    • 1953年 総合庁舎、ボートクラブ
    • 1955年 議事堂
    • 1959年 美術学校と建築学校
1955年
  • フランス ロンシャンの礼拝堂
1958年
  • フランス ブリュッセル万博フィリップス館
1959年
  • 日本 東京国立西洋美術館(基本設計)
    フランスからの松方コレクション返還に際して建設。実施設計は弟子の前川國男・坂倉準三・吉阪隆正らが担当。
1960年
  • フランス ラ・トゥーレット修道院
1961年
  • アメリカ カーペンター視覚芸術センター
1963年
  • スイス ル・コルビュジエ・センター
2006年
  • フランス フィルミニの教会(没後に着工し、工事が中断したが、2006年に完成)

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Unité d'Habitation
「一連の集合住宅」ユニテ・ダビタシオン


ユニテ・ダビタシオン(仏:Unité d'Habitation)は、ル・コルビュジェが設計した一連の集合住宅です。 Unité d'Habitationは、フランス語で「住居の統一体」と「住居の単位」の二重の意味を持っています。

ユニテ・ダビタシオンのうちで最も有名なものは、最初に建設されたフランスのマルセイユにあるユニテ・ダビタシオンで、これは18階建て、全337戸で、最大1,600人も暮らすことができる大変巨大な集合住宅でした。
1人向けから4人向けまでの23タイプの多様なユニットが立体的に組み合わされており、各住戸はメゾネットだったためエレベーターは3階ごとに停止するようになっています。
中間階の7階、8階には共用施設として店舗や郵便局などが、屋上には保育園、体育館、プール等も備わっています。
1961年には当時空室だった3,4階部分を利用してホテルが開業していて、現在でも宿泊が可能です。

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Villa Savoye
「新しい建築の5つの要点」サヴォア邸

サヴォア邸はル・コルビュジェが設計したフランス、パリ郊外のポワシーにある近代建築住宅です。(1931年竣工)
コルビュジェが提唱した「新しい建築の5つの要点」がすべて盛り込まれている建築と言われています。

新しい建築の5つの要点とは、「1.ピロティ」「2.屋上庭園」「3.自由な平面」「4.水平連続窓」「5.自由な立面」であり、コルビュジェが提唱した「ドミノシステム」によって実現が可能となりました。
以下は項目別の解説です。

1, ピロティ
ピロティとは、建物全体または一部を高い位置に支え、地上面(通常の1階に相当する部分)の全部または一部を空けてつくる空間のことです。
狭小地などで十分な駐車スペースが確保できない場合、ビルトインガレージとして利用されます。
サヴォア邸のピロティは車寄せとして、または転回スペースとしての機能があります。1階のロビーはこの転回に合わせた局面で囲われています。
 
2,屋上庭園
サヴォア邸では屋上庭園がリビングと一体的となり、外部と内部の境界が非常に曖昧です。それは両者の間に空間を区切るものはガラスしかないからです。
外部に接する壁であれば梁が出てきそうなものですが、その方向も一方方向に限定され視界を遮らないようにしています。
サヴォア邸の屋上庭園は壁で囲われており、外部からうかがうことはできません。一つの居住空間としてプライバシーがしっかりと取られているのです。
 
3,自由な平面
コルビュジェは床、柱、階段のみが住宅の主要な3要素であるというドミノシステムを提唱し、内部の壁が構造から解放された自由な平面を実現できるとしました。
これは構造躯体と内装や設備を完全に分離すると定義したもので、現在で言うS&I思想そのものでした。
 
4,水平連続窓
それまでは外周の壁はほとんどが耐力壁であったため、大きな開口を空けることはできませんでした。ドミノシステムにより外周の壁であっても大きな開口を空けることが可能となりました。サヴォア邸では多くの採光を得るためにたくさんの開口が開けられていますが、それらが水平方向に連続してならんでいます。
このような水平方向への強調は、外観がより安定した形状として見える効果があります。
 
5,自由な立面
支柱が壁から独立することで、建物の外観を構成する主要な立面を自由に設計することが可能になりました。(カーテンウォール)
 

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家具作品「LCシリーズ」

コルビュジエは建築家である従兄弟とデザイナーを率いて1927年に家具デザインを開始。
コルビジェの頭文字をとった「LCシリーズ」の家具が複数ラインナップされた。
プロフェッショナリズムを極めた3人の協業は10年間続き、家具デザインの分野に数々の功績をもたらした。
近年では、デザインに対する版権の期限(20年)が切れた製品を復刻させ、リプロダクト家具として普及。
よって当時のオリジナル家具より比較的安価であり、多くの消費者が
リプロダクトしたLCシリーズの家具を求められるようになった。

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